2018年06月24日

4法比較(専用実施権/専用使用権)

 専用実施(使用)権は、特77条等で規定されています。

 まず、4法すべてにおいて、第2項により、特許権者等は専用実施(使用)権の重複設定が制限される点の理解が必要です。そして、意匠法と商標法では「ただし書」による制限が追加されている点と、両者の目的が違う点の理解が重要です。

特77条
特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる。
2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。

実18条
実用新案権者は、その実用新案権について専用実施権を設定することができる。
2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録実用新案の実施をする権利を専有する。

意27条
意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。
ただし、本意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。

商30条
商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる。
ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権及び地域団体商標に係る商標権については、この限りでない。
2 専用使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。



 商標法は「国若しくは地方公共団体等に係る商標権」や「地域団体商標に係る商標権」、すなわち、特定の「主体」に係る商標権について、専用使用権の設定の制限を課しています。一方、意匠法は「本意匠と関連意匠に係る意匠権」、すなわち、類似関係にある意匠権について、専用実施権の設定の制限を課しています。

 それでは、意匠法と同様に類似の概念を持つ商標法において、上記の様な意匠法と同一目的の規定が無いのはなぜでしょうか?

 それは、専用実施(使用)権の「2項」から理解することができます。

 意匠法では専用実施権は類似範囲まで権利を専有するため(意27条2項)、類似関係のある本意匠と関連意匠に係る意匠権について制限を持たせる必要があるのに対し(意27条1項ただし書)、商標法では専用使用権(専用権)は類似範囲まで広がらないため(商30条2項)、抵触関係にある商標権について制限を持たせる必要がない(商30条1項ただし書)と理解できます。

 弁理士試験は条文の理解を問う試験です。できる限り、条文に当たって理解を深めることをお勧めします。

弁理士 論文ゼミ(目白ゼミ)


posted by 目白ゼミナール at 18:46| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月17日

4法比較(特許権等の効力)

 直接侵害を規定する中心的な条文は、特68条等です。
(省略した「ただし書き」は専用実施(使用)権が設定された場合の例外規定)

特68条
特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。
(ただし書き省略)

実16条
実用新案権者は、業として登録実用新案の実施をする権利を専有する。
(ただし書き省略)

意23条
意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。
(ただし書き省略)

商25条
商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。
(ただし書き省略)


 意匠権と商標権は「いわゆる類似範囲まで権利が広がる」と理解されている受験生も多いのではないでしょうか?

 しかし、意23条と商25条を比較すると、意匠法では「類似範囲」まで権利を拡大していますが、商標法ではそれがありません。その代わりに、商標法では「みなし侵害(商37条1号)」で、類似範囲まで拡大しています。

商37条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用


 意匠法と商標法のこれらの条文構成の相違は、「法目的に沿った実施(使用)権と排他権の規定」にあります。意匠法では実施権と排他権の範囲が同一ですが、商標法では出所の混同防止を趣旨に排他権を広くとっています。このような趣旨から、商標法では、まず商25条で「専用権(使用権と排他権)」を規定し、さらに商37条1号で「禁止権(排他権)」を拡大しているのです。

 弁理士試験は条文の理解を問う試験です。できる限り、条文に当たって理解を深めることをお勧めします。

弁理士 論文ゼミ(目白ゼミ)
posted by 目白ゼミナール at 20:20| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月25日

短答直前対策「著作権法A」

前回「著作権法の難解条文」を3つ紹介しましたが、今回は最初の「公衆」について解説します。

(定義)
5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。

原則が規定されていないため「公衆」の対象範囲が明確ではありませが、
 @特定かつ少数
 A特定かつ多数
 B不特定かつ少数
 C不特定かつ多数
のどこまでが、「公衆」なのでしょうか?

答えは「@以外」です。

公衆の理解は著作権法を理解する上で極めて重要です。

例えば、著作財産権(21条〜26条の3)の中で「公衆」要件が無いのは複製権(21条)のみで、他の支分権には「公衆」要件が入っています。

従って、殆どの著作財産権で、この要件を訊く問題が出たら解答を導くことが出来ません。

頒布権を規定する26条には「公衆」要件がないように思われるかも知れませんが、頒布の定義(2条19号)を見ると、その前段において「公衆」要件が入っているのが分かります。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十九 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。


頒布の原則(2条19号前段)は「公衆」要件を必要とする一方、同条19号の後段は、いわゆる「後段頒布」と言われる規定で、譲渡等の行為自体には公衆要件はありません。

つまり、所定の目的を持って映画の著作物の複製物を「特定かつ少数の者へ」譲渡し又は貸与す行為も頒布に該当することになります。

以上

弁理士 論文ゼミ 目白ゼミナール
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posted by 目白ゼミナール at 19:22| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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