2016年11月20日

根拠条文は商3条?

 商標法の「先願主義(商8条)」について、まずは、意匠法の先願主義(意9条)と比べてみることにしましょう。

意匠法
第九条  同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは、最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。

商標法
第八条  同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。


 同様な規定ぶりですが、実は、後願の出願人が先願の出願人(権利者)と同一の場合の取り扱いが大きく異なります。

 出願人が同一の場合、意匠法では拒絶理由の対象となり、関連意匠制度(意10条)を利用しない限り登録を受けることはできません。

 一方、商標法では許容されています。

 ただし、商標法でも、いわゆる専用権の範囲で後日に出願した場合には、拒絶されます。

 それでは、根拠条文は何条でしょうか?

 ・・・

 拒絶理由は限定列挙のはずですが、現行商標法には根拠条文がありません。

 現在のところ、商標法審査基準により、以下のような運用がされています。

第18 その他
6.同一人が同一の商標について同一の商品又は役務を指定して重複して出願したときは、第68条の10の規定に該当する場合を除き、原則として、先願に係る商標が登録された後、後願について「商標法制定の趣旨に反する。」との理由により、拒絶をするものとする。商標権者が登録商標と同一の商標について同一の商品又は役務を指定して登録出願したときも、同様とする。


 「「商標法制定の趣旨に反する。」との理由により、拒絶」です。

 本来であれば、立法化により根拠条文を規定すべきでしょう。

 この点に関し、立法化の議論ではありませんが、現在、商標審査基準ワーキンググループにて議論が進んでいます。

第21回商標審査基準ワーキンググループ議事要旨
https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/t_mark_wg_new21giji.htm

 議事によれば、「商標法制定の趣旨に反する」から「商標法3条の趣旨に反する」へ改訂される方向で検討が進んでいるようです。

 根拠条文が何条になるかはさておき、

 弁理士試験対策としては、先願主義の規定(意9条、商8条)において、「同一人による後願の帰趨の相違」についての理解を深めておくことをお勧めします。

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posted by 目白ゼミナール at 17:32| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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